ドルやユーロ、円などの法定通貨に変わる「未来の通貨」として注目を集めてきたビットコイン。
投資の対象から、一部の国では法定通貨に変わる「使える通貨」として、その存在を高めてきています。
コロナによる世界経済の鈍化によって、その価値を高めてきたここ数年ですが、価格の変動が非常に大きいとして「通貨としての不安定さ」も変わらず持ち合わせています。
合わせて政府による規制も厳しくなってきており、今後の見通しはなかなか厳しいのではないかということ。
今回はそんなビットコインの将来性と、それに代わる新たな暗号通貨の台頭、さらにそれすらも規制の対象になるのではないか?という専門家の予測を寄せた経済記事「From a bitcoin crash to regulatory crackdowns: Analysts give their top predictions for crypto in 2022」から、英語表現を学んでいきたいと思います。
ビットコインとイーサリアムを巡る英語表現
・Bitcoin has risen nearly 70% since the start of 2021
・driving the entire crypto market to a combined $2 trillion in value.
【単語・フレーズ】
has risen=上昇してきた(今まで)
nearly=約
since=~以来
drive~to=駆り立てる、~させる
entire=全体
combined=結合した
in value=~における価値
英文の解説です。
ビットコインを含む暗号通貨業界の隆盛を説明しています。
2つに分けていますが、実際には一文で、drinvingの前が「,」で区切られています。
一文の中で「,」がある場合は、前の文を受けて「,」後の文章で詳しく説明する流れになりますね。
ここでは「,driving~」から次の英文がそれに当たります。
driving~toで「駆り立てる」で、続く「暗号通貨全体の市場」を「合計2兆ドルの価値」に「駆り立てる・させる」という意味になり、全体として「~に達している」と訳す感じになります。
【訳文】
⇒ビットコインは2021年の開始以来70%近く上昇している
⇒暗号市場全体の価値は合計2兆ドルに達している
続いて次の英文です。
①heightened regulatory scrutiny
②and
③intense price fluctuations
④have dampened
⑤bitcoin’s prospects lately
一文を5つに区切ってみました。
全体の構造は「~have dampned」が肝になります。
英文の意味を理解する時は「主語と動詞」をしっかり掴むことが大事。
なのでここでは①から③が主語、④が動詞になります。
それぞれを訳してみると、
①高められた規制と精査
②そして
③極端な価格の変動
④鈍らせてきた
⑤最近のビットコインの展望を
という流れになります。
これを全体で訳すと、
規制当局による監視の強化と激しい価格変動により、最近ビットコインの見通しは鈍化しています。
となりますね。
規制したり精査するのは政府当局なので、それによってビットコインの自由度は失われていきますし、同時にもともともっていた価格変動の激しさが、今度の通貨としての将来性を鈍らせる、という見方をしていると思われます。
そうしたことで、
・bitcoin’s share of the market has waned
ビットコインの市場におけるシェアはhas waned(衰退し)、それに代わって、
・other digital currencies like ethereum
イーサリアムのような他のデジタル通貨が、
・playing a much larger role.
はるかに大きな役割を果たしている
ということになります。
ここでの英語表現のポイントは「playing a role」(役割を果たす)になります。
英文では「much larger」(より大きな)という強調表現を加えています。
ではなぜイーサリアムという別の暗号通貨は、それまで「暗号通貨の王者」だったビットコインを越える勢いを持つに至ったのでしょうか?
その理由を端的に表した文章が以下です。
DeFi aims to recreate traditional financial products without middlemen
まず英語表現を解説していくと、
aim toで「~を目指す」、recreateで「再現する」、without「~なしで」、financial products「金融商品」、middleman「仲介業者」となり、このなかで「recreate」が全体の意味を決める動詞になっています。
主語がDefiなので「Defiが再現する」がベースの意味ですね。
ここに「目指す」が加わり、後の単語やフレーズで肉付けしていく流れです。
では和訳してみましょう。
DeFiは仲介業者なしで従来の金融商品を再現することを目指している
ですね。
Defiは従来の金融機関のような「管理者」がいないため、各自が自分で金融機関のような役割を担うことができます。
お金の管理だけでなく、金融の運用も可能だということ。
詳しくは次の記事でまとめているので、そちらをご覧ください。
ビットコインよりも勢いを増しているイーサリアムは、このDefiを司る暗号通貨になります
ビットコインにはない「スマートコントラクト」という自己完結型システムを内包しているので、ゆえに今後のデジタル通貨の新しい王者になるのではないかと目されているわけですね。
新たな規制対象か?「ステーブルコイン」についての英語表現
ビットコインだけでなく、イーサリアムも実はそこまで将来性はない、という持論を展開しているのが、前回記事でも紹介したイーロン・マスク氏とジャック・ドーシー氏の二人です。
自律性の高い金融を可能にするとされているDefiについても懐疑的で「いずれは大資本が吸収する」的なニュアンスで、その将来性を低く見積もっているのが印象的でした。
それを裏付けるのが、政府当局による規制の強化です。
ビットコインだけでなく、Defiについても規制の可能性が今回の元記事で示唆されています。
そして新しい規制の対象もすでにあるということ。
それについての英文が以下です。
Experts say another key area regulators will likely focus on next year is stablecoins.
分解すると、英文全体は3つに分かれます。
①Experts say(専門家いわく)
②another key area is stablecoins(他の主要な分野はステーブルコインだ)
③regulators will likely focus on next year(規制当局が来年に注目する可能性が高いだろう)
このうちの②の真ん中に「that」が入ります。
another key area (that)regulators will likely focus on next year
thatは前の文を後ろで表現させる「接続詞」です。
省略することができるので、ここでは姿を現していませんが、実は秘かに説明部隊として待機していたわけです。
全体を訳すと
専門家によると、規制当局が来年注目する可能性が高いもう1つの主要分野は、ステーブルコインです。
となります。
ではなぜステーブルコインという暗号通貨が規制の対象になるのでしょうか?
それぞれの英語表現を解説しながら訳していきましょう。
・These are tokens whose value is tied to the price of existing assets like the U.S. dollar.
These are tokens(これらのトークン) whose value(保有している価値) is tied to (結びついている)the price of(~という価格に) existing assets(既存の資産)like the U.S. dollar(米ドルのような)
⇒米ドルなどの既存の資産の価格に値が関連付けられているトークン
・Tether, the world’s biggest stablecoin
Tether(テザー), (それは)the world’s biggest stablecoin(世界で最も大きなステーブルコイン)
⇒世界最大のステーブルコインであるテザーは
・particularly controversial as there are concerns about whether it holds enough assets in its reserves to justify its peg to the dollar
particularly(特に) controversial(物議をかもす) as(~として) there are concerns about(~について懸念がある) whether(~かどうか) it holds(保有している) enough assets(十分な資産) in its reserves(準備金に) to justify(正当化する) its peg to the dollar(ドルのペッグを)
⇒ドルへのペッグを正当化するのに十分な資産を準備金に保有しているかどうかについて懸念があるため、特に物議を醸している
という解説になっています。
法定通貨であるドルと結びついてる分、実経済への影響が大きいと判断されるためでしょうか。
新しい通貨であるデジタル通貨がこれだけ規制の対象になるということは、まさにその影響力が無視できないほどに大きくなってきたことを意味するのでしょうね。
まとめ
ビットコインやイーサリアムを始めとする暗号通貨やデジタル通貨が実経済で影響力を増す一方で、それに対する規制も徐々に強まってきているという英文ニュース記事から英語を学んでみました。
こういった経済英語はベースの英文自体はシンプルで分かりやすいため、それほど読解に苦労することはありません。
むしろ経済用語やその背景を知ることのほうに労力を割かれるので、門外漢にとってはそこが大変であり、かつ勉強になるという面がありますね。
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